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ユニゾンが東ハト支援 再生、事前シナリオで

 

記事要旨 【2003年3月15日 日経】

 
 14日、民事再生法の適用を申請した東ハトの支援に、企業再生ファンドのユニゾン・キャピタルが決まった。両社は、事前に譲渡価格や対象などを決めた上で法的整理に移行する「プレパッケージ型」という、国内で例のない手法を選んでいる。成功すれば破たん企業再生のモデルケースとなる可能性もある

  計画では、東ハトの破たんの原因となったゴルフ場関連事業と菓子事業を分離し、ユニゾンを中心に設立する新会社に菓子事業を営業譲渡する。新会社への営業譲渡が完了するまでは、あおぞら銀行がつなぎ融資する予定で、資金面での不安も解消した

  民事再生法などの法的整理の場合、支援企業が決まっているケースが大半だが、今回はスポンサー内定企業であるユニゾンと東ハトがより具体的な契約内容にまで踏み込んだ上で、民事再生法の申請をした

  破たん先企業の再生は時間と共に劣化する資産価値をどう保つかが焦点。裁判所の認可直後からフル稼働できるよう準備したわけだ

  新会社にはユニゾンに加え、バンダイと丸紅が出資する見込みだ。バンダイは玩具菓子などの新分野で事業協力、丸紅は原料調達から関連スーパーでの販路確保など新生東ハトの事業基盤を支える。

 

解説・コメント


記事では企業再生の新しいパターンとして紹介されている 。だが、果たして当初から法的整理(民事再生法の適用)を予定していたのか疑問に思う部分もある(今回の経緯については、いずれビジネス誌などで報道されるだろうが)

 むしろ、私的整理の枠組みの中で営業譲渡を模索していたのではないかと想像される。 一般に企業再生の実務としては、まずは私的整理から考え始める

 企業整理はその手続きに着目すると私的整理と法的整理とに分けられる。私的整理は債権者の話し合いによって任意に行うもの、 一方、法的整理は裁判所の関与の下で法的手続きに則って行われるものである


■私的整理と法的整理とでは手続き以外にも実態面で大きな違いがあるわけだが、その1つに債権者への返済割合がある。

  法的整理の場合、「債権者平等の原則」の下、各債権者は一律に債権の一定割合の弁済を受ける(担保などで保全を図っている部分や少額の債権は優先的に弁済を受けられる)。

 もちろん、これは大口債権者や一部の「特殊債権者」の横暴を阻止するために必要な大原則なわけだが、事業継続を図る上では支障が生じる。取引先(仕入先・外注先)にも一律で迷惑をかけてしまうということだ。

 特に今回のケースではゴルフ場の失敗が破綻の原因であるから、負債の大半は銀行が占めていることだろう。となると、返済原資も大半が銀行のものになってしまう。

 もちろん、返済割合は一律で公平なわけだが、取引先における貸し倒れはともすれば連鎖倒産という深刻な事態も招く。そこまで行かなくても信用を失うことだけは事実だ。取引先の支援なくして事業継続はあり得ない。


そこで、一般に私的整理では銀行(金融機関)だけを対象に債権放棄などの交渉を行う。銀行だけ損を被るようで不利なようだが、銀行としては倒産されてしまうより円滑に事業を継続してもらった方が回収額が増えるので交渉のテーブルに乗るのである

  しかし、ここで問題が生じる。こうしたケースでは各銀行が一律の対応をするのではなく、「メーン寄せ」といってメーン銀行が余計に負担を被って責任を明確化する。この負担割合をめぐって紛糾するケースがままある。

 特に下位行が自行の損失を少なくしようとメーン行に肩代わりを迫ったりする。私的整理の最大の難関は銀行間の調整にある。

 
■結局のところ記事のケースでは、営業譲渡の準備を進めてきたが銀行間の調整がつかず、法的整理に踏み切った、というのが真相かも知れない(邪推の域を出ないが)。

 いま少し邪推をするならば、東ハトは前社長が不明朗な金銭トラブルを起こしていたので銀行以外の部分で法的整理をせざるを得ない事情があったのかも知れない。

 また通常、重要な営業譲渡を行う場合には、株主総会で2/3以上の同意が必要になる。しかし、民事再生法を申請した場合、会社は株主のものという考え方はなくなり、裁判所の許可だけでも営業譲渡が可能になる。株主間の対立がある場合にも法的整理は選択肢になってくる
 

企業再生は債権者の同意協力なしにはあり得ない。スキーム構築にあたっては、金融機関や取引先等、債権者の立場を慎重に見極め、配慮する必要がある。

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 その後、東ハトのユニゾンへの営業譲渡については株主から異論が出て他の候補と入札となった。結果、ユニゾンが譲り受けることになったが、譲受金額の大幅増額を余儀なくされた

 本来、「プリパッケージ」は事前に債権者の同意を得て進めるものであるが、結局のところ今回の案件は必ずしも「企業再生の新しいパターン」とまで言えるものではなかった。利害関係者をまとめきれなければプリパッケージはおろか、私的整理スキームは当然にできない

 東ハトに関してはいろいろと経緯や利害関係者の対立もあったようなので、私的整理はそもそも難しかったのだろう


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