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(Q)家計簿と簿記 の違いは?

 

(A)簿記は、 期間を区切って経営活動の結果とその原因を記録するところに特徴がある。

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――●会計の複雑化

 前頁で述べたとおり、「期間損益計算」こそが、家計簿と違って企業会計を複雑なものにしています。

 その代表例が減価償却という概念です。家計簿では、5年使える30万円の大型テレビを買っても、「テレビを買った」でおしまいでしょう。しかし、企業会計ではそうはいきません。 

 30万円のテレビが、5年後使い物にならなくなったとき、その価値はゼロでしょう。では買ってから2年後、3年後の価値はどう考えればいいのでしょう。「中古品」ですから、決して30万円のままではないはずです。年を追うごとに徐々に価値が下がっていくと考えるのが自然でしょう。

 そこで、テレビを買った時点では、とりあえず30万円の資産として計上し、その後たとえば年6万円ずつ価値を下げていくのです。つまり、「テレビ代」として年6万円ずつ各期の費用として負担させるのです。このような、資産を期間の費用として配分していく手続きを「減価償却」といいます。 


 では、なぜこのような面倒なことが必要なのでしょう。金額を大きくしてみれば実感できるはずです。

 今、毎期の売上が20億円の会社があります。この会社が、5年使える50億円の機械を買ったとしましょう。ここで、減価償却をしなければ、機械に関する費用は初年度に一括計上され、初年度の業績は30億円の赤字(20億円−50億円)、2年目以降は毎期20億円の黒字(20億円−0)になります。

 機械は5年使っているにもかかわらず、初年度とそれ以降の利益の計算は大きくぶれてしまいます。これでは正しく業績を伝えられません。このことは、感覚的に理解できるでしょう。

 一方、機械は5年使っているのだから、毎期10億円ずつ費用化したらどうでしょう。毎期の損益は10億円の黒字(20億円−10億円)と計算され、平準化されます。こちらの方が合理的なはずです。なお、この「使える年数」のことを耐用年数といいます。


 さて、もうひとつ期間損益計算に特有の概念として、「引当金」があります。これは、減価償却が費用を後の期間に配分するに対し、キャッシュアウトの前に費用を先取り計上するものです。

 一例としては、賞与引当金が挙げられます。今、6月決算で、夏の賞与を7月に行う会社を仮定しましょう。ここで、ボーナスが1月から6月までのはたらきに応じて支払われるとします。この場合、たとえ支給が翌期の7月に行われるとしても、6月までの分なのだから6月決算の時点で費用計上するのが合理的でしょう。

 そこで、支給を待たずに、6月時点でボーナスの金額を見積もって、費用として計上するのです。これを引当計上といいます。

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 経済取引の複雑化に伴なって、会計も年々複雑化の道を歩んでいます。しかしその一方で、家計簿と同じ現金収支(キャッシュフロー)を重視する、「原点回帰」の 考え方も定着してきました。この考え方については、項をあらためて説明します。


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