(A)企業倒産は、@B/Sでつぶれるパターン、AP/Lでつぶれるパターン、Bキャッシュフローでつぶれるパターンに整理できる。 |
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――AP/Lでつぶれるパターン
企業倒産でいちばん多いのは(その大半を占めるのが)、P/Lでつぶれるパターンです。
P/Lでつぶれるパターンとは、(本業の)赤字が続いて債務超過に陥るパターンを指します。累積損失が資本の金額を上回り、資本がマイナスになって、企業の純資産がマイナスになる状態です(この結果
、債務を返済できず、倒産してしまう)。
事業が赤字になる原因はいろいろあるでしょうが、財務的に見れば売上予測を誤り、固定費をかけ過ぎた状態を意味します。売上を甘く予想(期待)して、過大な設備投資をしたり、過剰な人員を採用したり、あるいは「売上のためなら経費はいくらつかっても構わない」として経費を水ぶくれさせたりと、いわゆる放漫経営として括られるものです。
――Bキャッシュフローでつぶれるパターン
事業は順調で、なおかつ特に含み損を抱えた資産もない、そんな一見問題のないケースでも倒産はあり得ます。それがキャッシュフローでつぶれるパターンです。俗に言う黒字倒産、「勘定合って銭足らず」のパターンです。
事業活動は一般に入金よりも支払が先行します。売上を上げるには、その前に商品や原材料を仕入れ、人員を雇わなければなりません。売上代金回収の前にこれらに対する支払が生じるのです。事業が成長する段階ではこの先行支払額(運転資金)もかさんできます。
事業自体は順調に推移していても、もし運転資金を必要なタイミングで手当てできなければ、その事業サイクルはそこでストップしてしまいます。
成長企業で特に注意しなければならないのはこのパターンでしょう(同じ倒産でもいちばん悔いの残るケースでしょうし・・・)。
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当たり前のことを確認すれば、企業は決算書(B/S、P/L、キャッシュフロー)それぞれの帳尻があってはじめて存続を保つことができます。裏を返せば、どれかひとつでも帳尻が合わなければいずれ倒産が待っています(キャッシュフローが合わない場合には、待ってくれるひまもありませんが)。
その意味で倒産の予兆は必ず決算書に表れます。どれか1つの数字が良くても、必ずしも喜んでばかりはいられません。それぞれの決算書に目を配って、「予兆」のうちに芽を摘んでおくことが求められるわけです。
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