(A)運転資本とは、
日常の事業活動の中で生じる資金不足の水準をいう。 |
運転資本は、大きく言って売掛金、在庫、買掛金で構成されます。運転資本管理という視点に立ったとき、この3つのうち、買掛金は自律的にコントロールが可能です。極端な話、自社で発注しないかぎり、買掛金は生じないからです。
一方、売掛金や在庫はそうはいきません。得意先は期日どおりに入金してくれるとは限りませんし、また、在庫は顧客に買ってもらわないことには捌けていきません。
したがって、運転資本の管理で重要なのは、債権管理と在庫管理であると言えます。
――●「流れ」の管理
運転資本の管理とは、要は事業の「流れ」の管理にほかなりません。売掛金がスムーズに入金するよう、また在庫がスムーズに回転するよう、「流れ」を管理することです。
この「流れ」の管理には3つのポイントがあります。
@つまりそうなものは流さない
A「つまり」を早く発見し、押し流す
B流れ自体を短くする
@つまりそうなものは流さない
いわば入り口での管理です。債権管理でいえば、与信管理を行なって「危ない」得意先とは取引を避けたり、現金取引をすることです。在庫管理でいえば、売れ筋・死に筋を把握して、売れないモノの仕入・製造を行わないことです。
A「つまり」を早く発見し、押し流す
債権は時間がたてばたつほど回収可能性は低くなります。また滞留債権先は、こちらが黙っている限り、これ幸いとばかり自発的に支払ってくることはありません。圧力をかけて早期回収を図る必要があります。
在庫についても時間がたつほど売れる可能性は低くなります。しかも在庫には、倉庫代や金利など、年換算で在庫金額の4分の1もの保有コストがかかるとされます。売れ行きが芳しくない場合には、損切りしてでも売り切る方が得策です。
B流れ自体を短くする
ビジネスの流れが短くなれば、債権や在庫が滞留する危険も小さくなります。債権管理でいえば、回収期間を短くすることです(現実には、後になっての変更は難しいので、取引開始時の交渉がポイントになります)。
在庫管理の場合は、仕入先・販売先との情報共有や製造工程の見直しによって、仕入から販売までのリードタイムを短縮することが重要です。
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