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(Q)ROAとは?

 

(A)総資産利益率。事業活動全体の投資利回りを示す、企業評価の総合指標。

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――●利回り思考

 今、投資信託会社の2人のファンドマネージャー、A氏とB氏がいます。2人が今年稼いだ利益は、A氏が10億円で、B氏が5億円。

 これだけ見れば、A氏がB氏よりも有能なファンドマネージャーということになるでしょう。ところが、A氏が運用しているファンドは100億円、一方、B氏が運用している額は10億円だとしたらどうでしょう。今度は、B氏の方が優秀だということになるでしょう。

 この考えの背景にあるのは、投資利回りという考え方です。A氏の場合、100億円の投資に対し10億円の利益を上げたのですから運用利回りは10%、一方、B氏は10億円の元手で5億円の利益を稼いだのですから利回りは50%ということになります。

 したがって乱暴な言い方をすれば、B氏の方が5倍の投資能力があると言えます(B氏の場合、小さい金額だから思い切って勝負できた、などというような要因は除くとして)。

 言われてみれば、あるいは、こうした単純化した例では至極当たり前なことですが、実際の経営の現場では、利回りでものごとを判断するというのはなかなか難しいようです。

 「A氏の方がたくさん稼いでいるのだから、A氏の運用額を増やそう」――こんな意思決定をしてしまいがちなのです。


――●規模か効率か

 さて仮に、A氏とB氏の運用額が反対だったらどうなるでしょう(下表ケースA)。
 

 

ケース@

ケースA

運用額

利益

運用額

利益

A氏

100億

10億

10億

1億

B氏

10億

5億

100億

50億

合計

110億

15億

110億

51億

 
 かなり極端な例とはいえ、利回りを基準に経営判断をすれば業績ががらりと向上することが分かります。

 これまでの日本企業は、効率よりも規模(絶対額)を重視し、規模の拡大、シェアの拡大に血道を上げてきました。逆の言い方をすれば、その陰で投資効率なる考え方が蔑ろにされてきたといっても過言ではありません。

 何故そうなってしまったかという点については別の項で取り上げますが、いずれにしても投資効率を意識してこなかったことが、 バブル破綻後の日本企業の収益力低迷を招いた要因のひとつであると説明できます。


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