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(Q)現在価値とは?

 

(A)将来のキャッシュが現在のいくらに相当するかを割引評価したもの。

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――●割引計算と複利計算の関係

 前のページで、今の100万円の方が1年後の100万円よりも価値があるのは、今の100万円には運用益が見込め、また手元に入らないリスクが回避されているからでした。

 これを裏返しに読めば、確実な運用利回りにリスクに応じた上乗せ分がつけば、将来のキャッシュも現在のキャッシュと同じ価値をもつということができます。たとえば、上乗せ分を含めた利回りが10%で「迷い」始めるのなら、現在の100万円と同じ価値をもつのは、

・1年後のキャッシュ・・・110万円(=100万円x(1+10%))
・2年後のキャッシュ・・・121万円(=100万円x(1+10%)の2乗)
・3年後のキャッシュ・・・133万円(=100万円x(1+10%)の3乗)
     ・

となります。すなわち、100万円を年10%の複利で計算した金額が現在の100万円と同じ価値になります。このように、現在価値への割引計算と複利計算とはコインの裏表の関係になります。

      複利計算      ⇔     割引計算
 (現在の金額の将来価値を計算)  (将来の金額の現在価値を計算)

ここから、複利計算の算式を変形すれば、現在価値の割引計算の算式が求められることが分かります。たとえば、現在の100万円の3年後の価値は次の計算で求まったことから、

 ・133万円 = 100万円 x (1+10%)^3(3乗)

これを133万円の現在価値100万円について解いてあげれば、

 ・100万円 = 133万円 / (1+10%)^3

であり、現在価値の計算式を導くことができました。ここで一般式のかたちで示すと、t年後のキャッシュの現在価値は、

   ・現在価値 = t年後のキャッシュ / (1+r%)^t

となります。


――●割引計算の例

 それでは、前のページの設例(後段に登場した選択パターン)を素材に割引計算の計算例を見てみましょう。オプションは、1)1年後に110万円全額受け取る方法と、2)1年後から5年間にわたって毎年25万円分割で受け取る方法の選択でした(割引率は10%とします)。

1)1年後に110万円全額受け取る方法
1年後の110万円を現在価値に割引くと、110万円/(1+10%)  = 100万円

2)1年後から5年間にわたって毎年25万円分割で受け取る方法
1年後に受け取る25万円の現在価値:  25万円/(1+10%)   = 22.7万円
2年後に受け取る25万円の現在価値:  25万円/(1+10%)^2 = 20.7万円
3年後に受け取る25万円の現在価値:  25万円/(1+10%)^3 = 18.8万円
4年後に受け取る25万円の現在価値:  25万円/(1+10%)^4 = 17.1万円
5年後に受け取る25万円の現在価値:  25万円/(1+10%)^5 = 15.5万円
 上記の合計                         94.8万円

 このように、単純計算では総額125万円受け取れるAの方が有利のように思えますが、現在価値に割引いて考えると結論は反対になるのです。


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