――B純資産(資本
)の部
純資産(資本)は、会社財産のうち株主に帰属する金額を示すものです。それは、株主がもともと出資した金額と事業活動の結果得られた利益とで構成されます。
会社法上、純資産(資本)の部は以下の3つに区分されます。
┏資本金・・・・・・・資本金 ――――────┬─配当不可
┣準備金・・・・・・・資本準備金、利益準備金 ────┘
┗剰余金・・・・・・・任意積立金、繰越利益剰余金etc
―───配当可能
株式会社では、倒産しても株主は出資金額以上に責任を負わないのが原則です。負債金額が会社財産を上回って債権者が債権を全額回収できない場合でも、株主はその不足分を補填する必要はありません。
このままでは、債権者は一方的に不利な立場に置かれます。そこで株式会社では、債権者を保護するため、会社財産を株主に還元(配当)することに一定の制限を加えています。資本の分類は、この規制に関連したものです。
――●資本金
資本金は、株主からの出資金です。これを株主に配当することは許されません。
――●準備金
次の準備金は、資本金のほかに会社法で債権者用の財源として積み立てが求められている金額です。その1つ、資本準備金は、株主からの出資金のうち資本金とされなかった部分をいいます。
会社は資本金が大きくなると、法律などにより運営方法が煩雑になり、税金などのコストも高くなります。そこで、一般には資本金を小さくすべく、出資金のうち
会社法上資本金としなければならない金額以外は資本準備金として処理します。
但し、配当の財源になるわけではないので、単に会計処理上の問題に過ぎません。
準備金のもうひとつ、利益準備金は、その名のとおり利益のうち債権者用の財源として積み立てが強制されるものをいいます。
しくみはこうです。会社は利益が出た場合、株主総会の決議に基づいて株主への配当を支払
うことがあります。いくら利益とはいえ、配当を無制限に認めると、債権者用の財源はいつまでたっても充実しません。そこで、配当を行なう際には、その10分の1を債権者用の財源として積み立てるのです。
――●剰余金
3つ目の剰余金は、利益の蓄積のうち配当に回せる部分です。このうち、
繰越利益剰余金とは、利益(剰余金)の処分方法(配当など)が株主総会で決められずに繰り越された金額を指します。なお、利益のうち配当や賞与の支払に回されなかった部分を内部留保といいます。
純資産(資本)の部で大切なのは、この内部留保です。内部留保が厚いということは、その会社は利益体質だということであり、また利益の多くが社外流出することなく、再投資に回されて事業活動が積極的に行なわれているという証拠でもあるからです。
逆に赤字の会社では、資本を食いつぶしながら生きていることになります。この場合には、あと何年会社がもつか、砂時計を横目に経営しなければならなくなります。