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(Q)企業価値 を高めるのにはどうすればいいのか?

 

(A)資本コストに注意を払いながら、営業利益の極大化や運転資本管理などによりフリーキャッシュフローを 増大させていくことが必要。

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――●資本コストの低減

 企業経営、ひいては企業評価において資本コストの引き下げはドラスティックな効果をもちます。一般に、その手法としてコストの低い負債の比率を高めることが考えられます。たとえば、社債を発行して調達資金で株式を消却し、資本構成の見直しを図る方法もあります。

 ただ、ここで忘れてならないのは財務の安全性という視点です。大企業のように財務体力のある企業であれば、株式から負債への資本構成の見直しも検討に値しますが、財務余力や収益力で余裕のない中小企業の場合、負債比率を高めることは一般に危険と言うべきです。むしろ、資本コストが上昇する結果となっても借入を減らす方向に進めべきです。

 最適資本構成を考える上でのポイントは、「キャッシュフロー的に安全な範囲で負債比率を極大化する」ことです。まずは、自社の有利子負債の水準がフリーキャッシュフローに照らして安全かどうか、たとえば借入残高が償却前利益の何年分になっているかなどを確認してみる必要があります。


――●時機を得た事業外資産の処分

 そもそも事業外資産は、株主の意に反した資産運用なので処分されるべき資産です(株主は、その会社の事業に投資しているのであって、債券投資や不動産投資を委託しているわけではありません。もし、余資があって適当な再投資先がないのなら、株式消却によって株主に返還すべきです)。

 中には、含み損の顕在化を恐れて遊休地などを塩漬けにしている企業もありますが、デフレ傾向が続くならば評価の高いうちに処分をするべきです。大事なのは、利益(損失)の金額ではなく、キャッシュフローの多寡なのですから。



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