――●営業キャッシュフローの計算
営業キャッシュフローは、会計上の利益に調整計算を加えて算出します。営業キャッシュフローは基本的には会計上の利益と重なる部分が多いので、それに調整を足して計算する方が効率的だからです。
(キャッシュフローをダイレクトに求めることも可能です。しかし、利益と資金の関係を理解するには、利益をベースにした計算方法で理解する方が望ましいと考えます。)
営業キャッシュフロー = 会計上の利益 + キャッシュフロー上の調整項目
ここで、調整項目は以下の2つのパターンに分けられます。
(A)利益計算には含まれるが、キャッシュフロー計算には入らない項目
(B)キャッシュフロー計算には含まれるが、利益計算には入らない項目
したがって、利益計算をベースにキャッシュフローを求めるには、会計上の利益からパターンAの金額を外し、パターンBの金額を加えてやればいいとことが分かります。
パターンAの項目として挙げられるのが「非資金費用」です。「非資金費用」とは、減価償却費などのように現金支出を伴なわない数字上の費用をいいます(減価償却費は、設備などを買ったときにキャッシュアウトがあり、償却費を計上する時点では資金の流出はありません)。
こうした「非資金費用」は、利益の計算上は現金払いの人件費などと同様マイナス計算されています。しかし、そのタイミングでお金が出ていったわけではありません。そこで、キャッシュベースで考える場合には、その分を戻してやる必要があるわけです。
もうひとつのパターンBの項目として挙げられるのは、運転資本の増減額です。
運転資本の増加は、これまで何度か説明してきたように資金不足の拡大を意味します。すなわち、利益計算自体には直接影響しないものの、キャッシュフロー上は確実にマイナス要因なのです(たとえば、在庫を増やせば利益は減りませんが、現金は減ってしまいます)。
そこで、会計上の利益のマイナス項目として運転資本の増加額を調整するのです。
以上をまとめると、営業キャッシュフローの計算は、次の算式で求められます。
営業キャッシュフロー = 会計上の利益 + 非資金費用(償却費)− 運転資本増加額